第3回は前回の最後に触れた志望校選びについてです。多くの方がまず学校から調べる方が多いと思います。漠然と「スイス 留学先」など検索にかけて学校を調べる方もいらっしゃるでしょう。またはご友人のご家族から「〜の学校はとても良い」などの話を聞いて調べる方もいらっしゃるかもしれません。
スイスのボーディングスクールは各校それぞれ特色を持っていますが、学校を説明するのに共通して紹介するのは、スイスの国としての国際性、世界中から集まる留学生、質の高い教育や自然豊かな環境、などです。しかし学校によっては校風が自由だったり、服装から身だしなみまで厳しく制限したり、勉強が厳しく脱落すると大変だったり、学内での生活態度や礼儀を重んじていたり、など様々です。今は事前に調べる方法がたくさんありますので、入学してから思い描いていた学校生活が送れない、というようなことにならないよう慎重に学校選びをする事が大切です。
生徒、職員両方を経験した私から見るとウェブページや学校案内の冊子には当たり前ですが良い事しか書いてありません。進学実績も世界でトップレベルと言われている大学が数多く記載されています。学校によって都合が悪い事、例えば「寮内で喧嘩が起きて退学者が出た、学内で窃盗事件が起きた、などを正直に紹介していると「この学校は大丈夫だろうか? 危ない学校じゃないか?」といった印象を与えるからです。もちろんそうした情報は伏せますし、担当者も率先して話をしません。経験上担当者が話してくれるのは「世界中から生徒が集まっているのでそういったことは起きることもあります」程度です。
私は誤解を与えないようこうした負の部分の話も学校紹介時に少し触れたりしていました。留学フェアなどで隣に座っていた当時の上司やよく来日していた理事長夫妻がもし日本語を理解していたらまずかったかもしれません。
学校を知る一番良い方法は実際に訪問することです。日本の学校と違い、スイスのボーディングスクールでは学期中の入学担当オフィスが開いている時間であればいつでも訪問できます。現地で担当者から話を聞くだけでなく、時間が許せば教室で体験授業を受けることと昼食を学内で食べることをお勧めします。学校の環境や校風が分かり、どのような食事が提供され、食事時間などの自由な時間の生徒の雰囲気などが分かるからです。残念ながらコロナ禍なので日本からの訪問が難しいですが今はオンラインでバーチャルツアーを実施している学校が多いです。もしその日程を組む際は、予め現地の生徒さんと話をしたい、などリクエストを出すことをお勧めします。
先に述べたように入学担当の職員と話をする機会があったとしても、生徒さんや保護者の方には基本的に良い部分しか紹介しませんので、負の部分の情報収集は難しいのです。現地訪問が難しい場合、その学校のOB、OGなどに話を伺う機会を作るとより突っ込んだ情報が得られます。事前に悪い面も知っておくと、入学してからがっかりしてしまう事は防げます。悪い噂を見聞きしなくても、トラブルに自分も巻き込まれる可能性があることをしっかり認識し、その自衛策も立てておくことが大事です。次回も志望校選びについて書いていきたいと思います。