学校を選ぶ基準として立地やアカデミックプログラムやアクティビティーなど色々と判断材料になることを述べてきましたが、実は学内で提供されるお食事もとても大事です。ボーディングスクールでは通常平日は朝、昼、晩の3食と週末土曜日と日曜日は朝昼兼用のブランチ(2食)と夕食(土日2食)の計4食が提供されます。学校によっては平日の午前や午後に"スナックブレイク"と称しておやつや軽食が提供される学校もあります。

私が卒業したレザンアメリカンスクールはお世辞にも美味しいと言える学校ではありませんでしたが、職員となって十数年ぶりに母校に戻った際は大分良くなっていました。ボーディングスクールの中には学内で提供される食事を「カフェテリア(学食)の責任シェフはフレンチやイタリアン」とアピールする学校もあります。もちろん毎日そういった料理のフルコースが出る訳ではないのですが、質の高い食事を提供していますよ、と志望生徒やそのご家族には良い判断材料になります。

一度レザンアメリカンスクールとは別の学校に生徒さんを所用で案内したことがありました。その学校の好意で夕食もカフェテリアでご馳走になりました。とても美味しく、一緒に行った生徒さんも大変喜び、帰りの電車の中で「中嶋さん、あの学校の食事マジ美味しかったです」と何度も話していました。もちろん日本の学校やレストランと同等のクオリティーを求めることはできませんが、スイスのボーディングスクール=高い学費=提供されるのは質の高い学食、とお思いになる方が多いです。

随分前の話になりますが学校創立の家族(一族)が来日した際、在校生のご家族方が集まる機会があり、その席でもある方が「味付けをよくして欲しい」、「ドレッシングやソースなど種類を増やして欲しい」、「メイン以外の付け合わせの食べ物の種類を増やしてほしい」などの要望が上がりました。しかし学校の責任者は「皆さんの意見は分かっているが、私の今年90何歳になる母親が毎日学食に食べに来て美味しいと言い、健康も崩していない、と返答した際、これは何を言っても変わらないと悟ったのかこれ以上要望は出ませんでした。しかし、その後すぐにではありませんでしたがカフェテリアで提供される学食は味は変わりませんでしたが、付け合わせの料理の選択肢が増え、ドレッシングやソースの種類は増えました。しかし、「世界中のあらゆる文化や宗教の違いなどでああした味付けや料理になるのは仕方ない」と諦め気味に話をしてくれた生徒さんも印象深いです。

学校訪問する際は出来ればランチタイムに近い時間に訪問し、実際に学食を召し上がることもお勧めします。学校の食事が合わず、毎日外で食べたりウーバーなどのデリバリーばかり頼んでいたら費用も嵩みますし健康も壊してしまいます。また成長期の食事はとても大事です。

最後に、以前職員をしていた時に食事に関してこんな要望がありました。大抵のボーディングスクールではビュッフェ形式なので、「食事の栄養指導」と「テーブルマナーを身につけさせてほしい」、と。栄養指導は学校がすることではなく(未就学児―小学生を受け入れる学校は除く)各ご家庭で行うものなので学校は生徒の食事に関与しません。またテーブルマナーは一部の学校で行いますが、イベントなどが行われる時のみ、という学校が多いです。

食事に関しては各学校本当に事情が違いますので、もし学校訪問ができない場合は事前に学校のSNSやYouTubeでの公式動画などで調べることをお勧めいたします。