よく「英語がどれくらいできないといけないのか?」とご質問を頂きますが、スイスの学校は英語が母国語でない生徒の為のプログラム(ESL、学校によって名前が違います)を備えていて、たとえ会話についていけなくても日常会話及び授業で使う会話・文法を一から学ぶ事ができます。

また「なぜアメリカやイギリスではなくスイスなのですか?」というご質問も良く頂きます。スイスという国の立地上、接しているヨーロッパ各国(フランス、ドイツ、イタリアなど)に近く、永世中立国ということもあり世界中から生徒が集まってきます。どの学校も留学生の在籍数が多く、インターナショナルな雰囲気の中で学ぶ事ができ、在籍生徒の安全には細心の注意が払われています。そして「スイスアルプス」の壮大な山々に囲まれた大自然の中で心身ともに健康に過ごす事ができます。もちろん学校が主催する旅行やイベントなどで近隣の国を訪問する機会が多いです。

尚、スイス留学には日本人の生徒は学生ビザ取得の必要がありません。各学校が在留資格届を移民局に出し、各生徒は在留資格カード(B-Permit Card)を受け取りますので留学がしやすい国です。

下記、以前ボーディングスクールの入学担当として働いていた時によく寄せられたご質問(順不同)をご紹介致します。

Q: なぜスイスに留学なんですか?

A: スイスはフランスやドイツなど5カ国と接し、観光立国として世界中から人が集まります。永世中立国と豊かな自然に囲まれた安全な環境もあって学生も世界中から集まる為、国際色豊かな環境で学ぶ事ができます。

Q: 私の子どもは英語が話せませんが、留学できますか?

A: スイスのボーディングスクールでは上記のように世界中から生徒が集まる為、英語が母国語でない生徒の為の英語プログラムも充実しています。卒業目的の場合、何歳までしかそのプログラムを受けられない、などの制限がある学校がありますが、多くの学校では入学後に英語を基礎から学ぶ事ができます。日本と違い勉強だけでなく生活で使う英語をキャンパス内で身につけることができます。

Q: IB(インターナショナルバカロレア)って何ですか?

A: IB (International Baccalaureate)は世界120カ国以上で認められている認定資格です。通常のカリキュラムと違い、高いレベルの語学力が必要になり、各分野(教科)の専門的知識及び情報を学んでいくプログラムになります。国によって制度が違いますが例えば16-19歳を対象にしたDP(ディプロマ=卒業認定資格)コースの場合、海外で学んだ生徒が母国の大学を受ける為の卒業資格認定のコースです。

Q: 何年生ぐらいで留学させるのが一番良いのでしょうか?

A: 良く頂く質問の中でこれについては正直判断が難しいです。英語(もしくは別の言語)を学ばせるには早ければ早い方が良い、と考えていらっしゃる方が多いですが、語学を学ぶにはまず母国語をきちんと操れないと新しい言語をしっかりと学べません。日本人の場合、日本語を疎かにしてしまうと小さい頃は良くても大きくなってから苦労してしまいます。大人のレベルになると日本語も英語もどっちつかず、という事もあります。私が扱っている学校には低年齢から受け入れている学校がありますが、そうした学校に入学してからもご家庭で日本語(もしくは母語)を学ぶ環境を整えていくことが大事です。学校によっては週に1〜数回日本語講師が来校して日本語レッスンを開いているところがあります。

Q: 生徒は週末は何をして過ごしていますか?

A: 週末毎にアクティビティー(課外活動)を用意している学校もあれば、決まった自習時間以外は自由に過ごせるという学校もあります。また学校主催の旅行(ショッピングトリップや博物館訪問)を毎週末のように企画している学校もあります。

Q: 日本人は大体何人ぐらい在籍していますか?

A: ほとんどのスイスのボーディングスクールでは在籍生徒の国籍が偏らないよう国籍制限を設けていますので留学したら日本人だらけという事はほとんどありません。学校によっては学年により校舎や寮が違うので在学している日本人が全て一緒に同じ教室で授業を受ける、という事もありません。ただし同じ学年で英語力も同程度だと英語のクラスを一緒に授業を受ける事もあります。また学校によっては海外で生まれ、その国の国籍と日本国籍を有している生徒さんも日本人とカウントする学校があります(日本人で出願するとビザ申請の必要がないため)。

Q: どの国からの留学生が一番多いですか?

A: スイスからそれ程離れていないロシア人(及びロシア語圏)の生徒が一番多いです。あまり知られていませんが、ロシア人の生徒は一定年数(大体8年)スイスの学校に在籍しているとスイスのパスポートがもらえる為、小さい頃からお子様をスイスに送るご家庭が多いです(法改正により取得条件に一部変更がありました)。また最近は中国からの留学生も多くなってきています。

Q: 卒業後の進路はどこの国が多いですか?

A: 卒業後の進路ですが高校(中学)進学の場合、卒業学年に合わせてそのままスイスの別のボーディングスクールに進学する生徒さんが一番多いです。大学進学の場合、アメリカ、イギリス、カナダの大学が多いですが母国の大学に進学する生徒さんもいます。

Q: 卒業後、日本の学校(大学)に進学できますか?

A: 進学できます。私立大学は帰国子女枠などで進学する生徒さんが多いですが、国公立大学に関しては各大学各学部の入学試験の要綱をご確認下さい。国公立大学ではIB Diploma(上記の質問を参照)を取得してセンター試験と大学の受験資格を得られる、と規定している大学が多いですが、例外もありますので受験要綱は直接大学にお問い合わせ下さい

Q: 制服・校則はありますか?

A: ほとんどの学校に制服はあります。ただ日本の学校のように常に着用義務(課外活動や修学旅行などにも)がある事はほとんどなく、学校時間内以外は着用しなくて良い学校が多く、週末の旅行では私服で行くことができます。また校則ですが、日本の学校に比べ細かな規則がある訳ではなく、ほとんどが「帰寮&集合時間を守りましょう」「タバコやお酒は禁止」など一般的なものが多いです。

Q: 学校のお食事はどうですか?

A: どの学校も国籍にとらわれない様々な食事がカフェテリア(食堂)で出されます。主食はご飯よりパンが多いです。中学生以上の学校だとその日の献立がバイキング形式になる学校がありますが、低学年だと職員がテーブルを共にし、バランスよく食べるよう指導されます。

Q: 学費はどれくらい掛かりますか?

A: スイスは非常に物価の高い国の一つとして知られ、その分国民の平均所得も高いです、私立であるボーディングスクールの費用はアメリカやイギリスなどと比べると高い費用が掛かります。過去にテレグラフ紙では「世界で一番高い学校ベスト10」にスイスの学校は8校ランクインしたことがあります。留学年齢によりますが、大体年間600万ー1000万円以上掛かると考えて良いでしょう(航空運賃、細かな諸経費は除く)。

Q: 子どもの頃から続けている楽器(ピアノ・チェロなど)をスイスでも続けたいのですが・・・?

A: スイスのボーディングスクールでは芸術系のプログラムに力を入れている学校もあり、キャンパス内外で個人レッスンを手配してくれる学校がほとんどです。ジャズバンドやオーケストラなど楽器を扱う音楽クラスやアクティビティを提供している学校もあります。

Q: スイスの治安はどうですか?

A: スイスはとても安全な国と認識され、世界中から訪れた人が不安なく観光することができます。ただしスイスもヨーロッパにあり法律上、他国から移民や難民を一定数受け入れています。またボーディングスクールでも世界から生徒が集まる事もあって窃盗などの被害を受ける場合があります。自分の持ち物、お金はしっかり管理する必要があります。学校によっては寮の各部屋にセフティーボックスを設けています。

Q: 学生ビザの取得は大変ですか?

A: 日本人がスイス留学する際、学生ビザは必要ありません。現地の学校で在留届を行います。ただし低年齢のお子様を近くで見守りたい親御様が滞在するにはビザが必要になります。観光ビザで入国の場合、滞在出来るのは最長3ヶ月(90日間)です。

Q: 学校が長期休暇の時はどのように過ごすのですか?

A: ほとんどの生徒は母国へ帰国するか他国へご家族と旅行に出かけます。長期休暇中は学校の寮も閉まるため(もしくはサマー&ウィンタースクールの準備が始まるため)、学期終了後そのまま滞在する事はできません。

Q: もし保護者がスイスに行く場合、週末は子どもと外泊できますか?

A: 各学校でルールが違いますが、学校行事やテストに重ならなければ親子同伴で外泊は可能です。その際、学校が定める帰寮日と時間内に戻ってくる必要があります。

Q: 学校訪問(留学中もしくは前)はいつでもできますか?

A: はい。できます。学校がクリスマスなどで休暇中でない限り事前に入学担当のオフィス(Admissions Office)に見学希望を出せばキャンパスや施設を見学する事ができます(中には出願前に学校見学を受験の一環として貸している学校もあります)。ただしサマースクールやウィンタースクールの開催期間中は、通常の正規留学の見学を希望する方にはお勧めしません。お子様が留学中の場合は希望すれば各教科担当の先生や寮の先生と面談する事が可能です。

Q: 寮(もしくは学内)で体調が悪くなったらどう対応してもらえますか?

A: 学校ではキャンパス内外で気分が悪くなってもすぐに対応できるよう保健室に看護師が常駐しています。もし学校の旅行中で何か起きた場合、付き添いの職員がその場で対応するか、支給されている生徒用携帯電話(学校によります)に看護師直通の番号が登録されていて直接症状を話す事ができます。寮で寝込んだ場合でも看護師に電話をすれば薬等を持ってきてくれます。また大きな怪我や重い症状の病気の場合は学校がクリニックや病院を手配してくれます。

Q: 子どもが学校の勉強についていけなくなった場合、サポートはありますか?

A:スイスのボーディンスクールでは学校によりますが、あまりに成績が悪い状態が続くと最初に警告やAcademic Contract(=成績改善の誓約書)などが届きます。それでも改善が見られない場合、最悪退学処分になってしまう事があります。こうした事態に陥らない為、各教科にチューター(Tutor)もしくはメンター(Mentor)をつけることができます。チューターは各教科を専門にサポート、メンターは勉強の仕方や生活改善の指導を行います。サポート体制は各学校違いますので事前に確認しておく必要があります。

Q: コロナ禍の中、スイスのボーディングスクールの学校生活&サマースクールはどうなっていますか?

A:スイスのボーディンスクールでは2020年に世界がコロナ禍になって以降、多くの制限がありましたが、2022年4月1日よりマスク着用義務の撤廃され、学内でのほとんどの授業はオンライン授業を取り止め対面授業を再開、イベント、小旅行などが通常に戻っています。一部マスクを着用する時がありますが常時ではありません。サマースクール(サマーキャンプ)も2022年夏より通常のプログラムに戻っています。正規留学もサマースクールも世界中から生徒が集まるため、クラスターが起きる場合もあります。しかし各学校は対応がすぐにとれる体制を整えていますので、コロナ禍が始まった頃の大騒ぎは起きません。ただ日本よりマスク着用義務がゆるいことは予め認識する必要があります(学内外、屋外でもマスク着用はほとんどしません)。