初めてのスイス留学体験記で取り上げたい事は、今まで一番多く寄せられる英語に関してです。どうやって勉強したか、話せなくても留学はできるか、学校生活をちゃんと送ることができるかなど、渡航前は皆さん様々な不安をお持ちです。

私はどうだったか? 実はほとんど英語を話せないままレザンアメリカンスクールに入学しました。最初の数ヶ月はとても苦労しました。まず先生が何を話しているか分からない、クラスも理解していくのに時間が掛かりました。しかしまず取り組んだのは相手が話している英語を聞くことと、自ら話そうとすること。英語を勉強していく上でまず文法や英語構文に取り組んでそれについての英語の参考書を購入して準備を進めていく入学前の生徒さんが多いですが、たとえ読み書きが出来ても授業や寮のミーティングで先生が何を言っているか分からなかったらコミュニケーションが取れず、言いたいことも伝わりません。

スイスに留学した90年代後半、パソコンはWindows95の登場で普及しつつありましたが、今のようなスマホや便利なアプリ、タブレット端末などはありませんでした。従って英単語を覚えるのに綴りを何回も紙に書いたり、単語カードを作ったりする古典的な方法に頼るしかありませんでしたが、英語を話すことと聞くことはこれらのIT機器がなくても出来ます。

私は1年目のルームメイトは台湾人で英語も堪能、いたずら好きで良く英語ができないことでからかわれましたが、これもなるべく対等に話せるよう、何か言われても言い返せるように日々会話を重ねたことでまずリスニング能力が上がりました。最初はちんぷんかんぷんだった全校集会での先生や生徒会からのお知らせも数ヶ月でだんだん分かるようになってきました。並行して英文法に関しても先生に何が分からないか質問ができるようになったので徐々に分かるようになってきました。

今は便利なものがたくさんあるので当時ほどの苦労はないかもしれませんが、簡単な会話力、リスニング力は勉強に絶対必要です。実は職員として働いていた時、英語の先生方からよく聞いたのは「日本人の生徒は読み書きはとてもレベルが高いけど、スピーキングで苦労している」。クラスで発言しない、黙って聞いているだけ、という日本式の教育が浸透している所為か「日本人=とてもおとなしい」という印象を持つ先生方が多かったです。クラスでも寮内でも黙ったままだと何を言いたいのか汲み取ってもらえず、勉強が捗らず、理解も浸透せず、また学校生活では思わぬトラブルに巻き込まれることもあります。

入学してからはまずコミュニケーション力を磨くことをお勧めします。しかしSNSの文字だけの会話はお勧めしません。たとえ拙い英語で会話が成り立ったとしても対面時に同じように話せるとは限らないからです。勉強の仕方は人それぞれですが、ボーディングスクールではその場に世界中からの留学生がいるので交流するようにしましょう。